東武伊勢崎線 竹ノ塚駅踏切事故を考える

今日ホントに書きたかったのはこれです。
ここから先は「だ・である」調で書きます。


今朝6:55頃、いつもより1本遅い電車に乗っていると、きのう竹ノ塚で死傷事故があったという放送が流れた。
鉄道会社は人身事故と死傷事故をひっくるめることがあるので(特にメトロ)、あまり気に留めてなかったのだが…

9:00頃、バイトが終わった頃に友達から聞いた話では、相当な事故だったという。


東武伊勢崎線踏切で2人死亡…手動遮断機上がった直後 ほか
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050315-00000111-yom-soci
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/train_accindents/?1110881028

状況は普通 中目黒行きが通過直後に遮断機が上がったが、その直後に準急 浅草行き(当該車両:11603Fらしい)が接近、急ブレーキをかけたが、間に合わなかった。
準急は90km/h出ていて、ライトは消灯していたという。

ここで、何が原因だったのか考えてみることにした。

ここは地元でも「開かずの踏切」と呼ばれるほど列車本数が多く、昼間でも1Hあたり

  • 準急×6
  • 区間準急×3
  • 普通×6
  • 優等×2〜3

という具合に、上り・下り合わせて35本前後の列車が行き交う状況である。

朝ラッシュ時は上りだけで準急3〜4分間隔・普通2〜3分間隔・さらに下りだけでなく車庫からの入出庫もあるため、ひっきりなしに列車が通る状況だ。
事故があった16時50分頃には、竹ノ塚検車区から電車が出庫していく時間帯だった。

踏切は係員が操作する手動式で、ワイヤーが水平に張られているタイプの遮断機である。
係員は詰所で遮断機を操作し、電車が接近するとランプが点灯するという仕組みであった。

直接的な原因は、係員が上り準急接近ランプに気づいていたが下り準急の接近ランプに気をとられ、「次の電車までに時間があると思った」ことで遮断機を上げてしまったという。

一見、ただの人為的ミスのように見えるが、これにはさまざまな要因がある。
どこに原因があるのか、考えてみよう。

  • 手動式の迅速対応のメリットが裏目に出た?

踏切は約33mあるため、中に人が閉じ込められる可能性もある。このようなときには見張りの係員の付き添いで複々線の真ん中(駅の近くなのでスペースがある)に避難することもあり、また警報が鳴っている間は遮断機を上げることはできないが、ロックを解除して遮断機を上げ、通行人が閉じ込められないようにするなど柔軟な対応が可能だが、この事故ではその柔軟性が裏目に出た可能性がある。

  • 作業マニュアル違反?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050316-00000104-yom-soci
基本的に緊急時以外、ロックはみだりに解除しないことということがマニュアルに定められている。しかし実際はブザー音が鳴らないように作業していたこともあるそうだ。この事故でもそうだったという可能性は否定できない。

  • 踏切支障報知装置使用標識は正常に動作していたか?

踏切支障報知装置使用標識(東武のはこういうの)とは、踏切に異常がない場合に点灯するものである。詳細は不明だが、運転士が確認を怠ったという可能性も無きにしも非ずだと、私は思う。

  • そもそも手動に原因が?

手動踏切であるがゆえに起こったという意見もある。
人が操作する以上、ミスは常に起こりうるというところからくるものなのだろう。
 
以上のように、“手動”であることに焦点が当てられているが、適切な解決法はあるのだろうか?

1 竹ノ塚駅付近の高架化
これは結論から言うと、不可能に近い。
東京メトロ竹ノ塚検車区がすぐそこにあるため、高架化すると入出庫できないのだ。急行線のみ高架化という意見もあるようだが、そもそも財源をどこから確保するのかという問題、また急行線のみとなると、非常に複雑になることが予想される。

2 踏切の自動化
自動化によって人為的なミスは減るだろう。しかし、ただでさえ「開かずの踏切」が、臨機応変に対応できるというメリットを失うためにさらに踏切が長時間開かなくなり、現状以上の渋滞を招く恐れがある。
こうなってしまうと、利用者は不便を強いられることになってしまう。

3 竹ノ塚検車区の移転
これは1の高架化に直接つながってくるが、移転先の確保が問題となる。私の個人的な意見としては、西新井工場跡地はどうだろうかと思う。しかし実際には、ここを出ると北越谷→北千住を経由しないと戻れない配線構造にならざるをえず、難しいと思われる。また、東京メトロとの交渉が必須となるため、難航するだろうことは想像に難くない。
 
以上、簡単だが私なりにこの事故について考えてみた。

根津社長は「安全だと思っていた」と釈明しているが、この事故は周辺の事情からいって手動という方式が理にかなっていた反面、手動であるが故に起こるべくして起こったという複雑な二面性があると私は思う。安全の徹底と再発防止は当然必要だが、東武だけに責任を追及するのではなく、自治体や周辺住民がこの事故を重く受け止め、このようなことが二度と起こらないように働きかけていくべきであろう。
 
<SS執筆状況>校正は少しづつ進んでいます。